【コスミック・アイ 第15回】

アメリカ合衆国はどこへ行くのか ― その2

 

米国の司法権によるクーデター? それとも責任を放棄したのか?

 

「法の支配」はアメリカ合衆国では特に重要な価値観である。「法」の意味には二つの領域が含まれている。一つは「自然法」であり、「神の意思」のことであり、独立宣言にその核心部分が述べられている。二つ目は、前者に基づき造られたアメリカ合衆国憲法(1787年)とそれに基づく諸法律である。「法の支配」はこの二つの領域を中心に国家、社会、家庭、個人が存在しようすることを意味する。米国は、英国との独立戦争の只中に「独立宣言」(1776年)をおこなった。独立宣言の中心的価値観のなかの一つである。それは17世紀英国の政治哲学者「ジョン・ロック」の思想を受け継いだものであり、当時の「建国の父たち」と合衆国を構成した13州のリーダーたちに共通の思想でもあった。重要な部分を引用したい。

「われわれは、以下の事実を⾃明のことと信じる。“すべての⼈間は⽣まれながらにして平等であり、

その創造主によって、⽣命、⾃由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている”。

こうした“権利を確保するため⼈々の間に政府が樹⽴され、政府は統治される者の合意に基づいて正

当な権⼒を得る”。 、、、」

独立宣言が提示する価値観は普遍的真理であり「自然法であり、神の意思である」とする。

米国の建国以来の国是は「法(自然法、神の意思)の支配」の保持である。その目的は「国民の権利保護と発展」にある。アメリカ合衆国連邦政府は「司法権、立法権、行政権」を代表する連邦裁判所、連邦議会そして大統領により構成される。連邦裁判所は勿論、連邦上下両院議会と大統領には、それぞれに「法の支配」を保護する責任と権限が憲法により与えられている。

 

FBIは「法の支配を守る責任」を負う

  2020年11月9日、ウイリアム・バー(William Bar)司法長官によるメモが司法省全部門に通達された。「2020年大統領選挙で違法な選挙行為が行われた疑いのある状況に対しては、司法省の権限で調査する」ようにする為、50州の連邦検察官たち、司法省副司法長官たちの下にある刑事局、人権局、そして国家安全局、更にFBI長官に正式に行われた指示である。

合衆国憲法では「行政権は大統領に任され」ている。大統領は「法の支配」を守るべく、選挙を合法的に実行し、その尊厳性を守る重大な責務を持つ。それは、自ら立候補する大統領選挙期間中も遂行するべき重要な責任である。大統領の行政権限を、代理して権限責任を実行するのが司法長官とその下の膨大な数の司法省検察官たち及び職員たちである。

 

FBIによる「新型のクーデター」だったのか?

  待ち構えていた“反「法の支配」党”

2017年1月20日、ドナルド・トランプ氏が新大統領に就任してホワイトハウスの主人になった時には、ワシントンの政治エリート集団が、手ぐすねを引いて待ち構えていた。彼らのほとんどは民主党員だが、一部には共和党実力者たちも含まれていた。トランプ大統領は政治家としての経験が無く、ワシントンの民主・共和両党エリート集団には人脈が限られていた。政治エリート集団が、彼の大統領就任以前から「国民が行政権を託した新大統領を追放する」ために、準備をして待ち構えていた。そのための先頭に立ったのが司法省であった。司法省には前大統領バラク・フセイン・オバマ(Barack Hussein Obama II)氏の影響が色濃く残っていた。特にFBIはその前衛にあった。活用した武器が「ロシア疑惑問題」であった。

  「ロシア疑惑問題」の背景と事実は、連邦議会上院の司法委員会が2020年3月~10月に8か月間かけて行った調査報告書が、司法委員長リンゼイ・グラハム( Lindsey Graham)氏により報告されている。

“2016年大統領選挙に係るトランプ陣営のリーダー達が、選挙に影響を与えるための「ロシアとの共

同謀議」をしたのかどうかを調べる最初の調査名は「Crossfire Hurricane 」と呼ばれていた。

FBIのジェイムス・コミー長官と副長官アンドリュウ・マッカベは、それを実行することがとんでも

ない悪事と知っていながら許した。トランプキャンペーン陣営のカーター・ペイジに対する外国情報

調査法の令状に司法長官サリー・イエイツ(Sally Yates)、FBIのジェイムス・コミー長官、とそして

副長官アンドリュウ・マッカベの三者がサインし、FISA裁判所をだましてトランプキャンペーン陣

営のカーター・ペイジに対する調査権を得た。こんな違法なことがアメリカ合衆国でおこった。二度

と繰り返してはならない“(概略)

「ロシア疑惑問題」はエリート左派官僚たちが作り上げた武器であり、その目的は政治的クーデターの達成であった。即ちホワイトハウスからドナルド・トランプ新大統領を追放することにあった。アメリカ社会に“反「法の支配」党”が出現していたのだ。FBIは死んで、“反「法の支配」党”として生まれ変わっていた。

FBIによる米国民に対するスパイ活動は基本的に違法である。それは特殊な場合に限られ、外国情報監視法(Foreign Intelligence Surveillance Act of 1978)に基づき、裁判所の許可を得ねばならない。

2016年、大統領選が本格化する中で民主党エリート官僚達と一部の共和党エリートが、ロシアのスパイが提供した“怪しい関係書類の情報”を「トランプのロシアとの共謀疑惑」の追求に活用し、大統領選挙でトランプ候補を敗北させようとした。当時、ヒラリー・クリントン大統領選挙事務所と民主党全国委員会が私企業「Fusion GPS」に資金を投入して情報を整理させた。FBIは、極端に党派的で不正確なこの書類を使いFISA管轄裁判所をだまして、トランプキャンペーン・アドヴァイザー「カーター・ペイジ Carter Page」の調査権限を得た。FBIが極めて党派的なスパイ活動を始めたのである(2016年)。やがてトランプ新大統領が就任して後、FBI長官ジェイムス・コミー(James Comey)は解任(2017年5月9日)された。あまりにもその指導が違法性と党派的偏向が強かったからである。明確な政治的意図によりFBIをコントロールしていた。2019年12月、前記の真相がFBI総括調査官により明らかにされた。その後、彼はFox Newsの取材で「自分が間違っていた」ことを表明した。

FBIが党派的に極めて偏向した情報でFISA裁判所をだまして調査許可を得て、スパイ活動をすることを黙認していたことの罪は大きい。大統領選の真っ只中に、民主党の意図を汲んだFBIが、共和党大統領候補者に打撃を与えるために行動をしていたのだ。   

  

“反「法の支配」党”の司令部と前衛

このトランプ氏への攻撃は新大統領に就任(2017年1月20日)してから更に本格化した。その始まりはオバマ政権の最後の閣僚会議(バイデン現大統領も参加していた)が行われたときに、オバマ大統領がおこなった指令であった。“反「法の支配」党”の司令部とはオバマ大統領と閣僚たちであり、前衛はFBIであった。

2020年5月13日、Richard Grenell国家情報長官が連邦議会の要請に基づき機密情報を公開した。

“2017年1月5日、大統領執務室にオバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領を始め閣僚たちが集まっ

た。大統領は司法長官サリー・イエイツ(Sally Yates)と閣僚たちに「次期トランプ政権安全保障顧問

マイケル・フリンとロシア大使キスリャクとの何回か行われた会談」についての情報を話した。さらに

FBI長官ジェームス・コミィーと次期トランプ大統領に対してどのようにロシアスパイの「ステイ―ル・ファイル情報」を伝えるかを討議した。1月12日に「マイケル・フリンとロシア大使キスリャクとの何回か行われた会談」を公表すると決定された。同日にその情報がワシントンポストに漏洩され記事となった。これは違法行為である” (概略)

明らかに「ロシア疑惑問題」の根にはオバマ大統領が深く関わっていた。次期大統領補佐官マイケル・フリンの電話は米国の情報機関に盗聴されており、オバマ大統領はその情報で司法省を指導してトランプ新政権に圧力をかけた。大統領がアメリカ国民の人権を侵害する違法行為を実行していた。“反「法の支配」党”の司令官だったのだ。またジョー・バイデン副大統領も共に違法行為を犯した。またオバマ氏はロシア疑惑追及の根拠として活用されたロシアスパイ情報(クリストフアー・ステイ―ルのファイル情報)をジェイムス・コミーFBI長官と活用するために閣僚会議で相談をしている。オバマ大統領はFBIを“反「法の支配」党”の前衛として育てていたのである。

ドナルド・トランプ氏が新大統領に就任するや否やFBIのSteel Dossier(ロシアスパイ・スティ―ルのフアイル)の情報がエリートメディアにながされた。「トランプ大統領は大統領選でロシアと共同謀議をした犯罪者である」というメディアの大規模な合唱連呼が始まった。

2017年5月9日、トランプ大統領はFBI長官ジェイムス・コミーを解任した。するとその直後にロッド・J・ローゼンスタイン副司法長官が、大統領の「司法妨害とロシア疑惑」を調査・追求をするべく、元FBI長官ロバートモーラー(Robert Mueller)をスペシャルカンセルに任命し、独立的調査を発動させた。

このスペシャルカンセルチームの大規模な調査は1年8か月間も継続し、大統領の行政を甚だしく妨害した。このチームは19人の実力ある検察官や弁護士たち(一人を除き、全て強い民主党支持者達)と40人の職員により構成されていた。この構成は民主党政治色があまりにも強いものだった。25億円以上の資金を使い、調査のために罰則付きの呼び出し状(Subpoena)を2,800も送り付け、500の捜査令状が使用された。また500回もの証言を得た。

1年10か月の後(2019年3月24日)スペシャルカンセルチームは調査の結論を出さねばならなくなった。司法長官ウイリアム・バー(William Barr)はスペシャルカンセルの調査結果を公表した。その結果は民主党とマスメディアを全く失望させるものだった。「ドナルド・トランプ氏と家族、および大統領選挙対策本部の幹部たちを含めて、自らの選挙を有利にするべくロシアと共謀した事実(証拠)はない。 、、、司法妨害の嫌疑に証拠はなく、司法妨害は無かった。」というものであり、告発することは拒否された。まさに「ロシア疑惑」騒動は「大山鳴動して鼠一匹」であった。

そこに至る過程で、FBI副長官マッケイブ(Andrew McCabe)は情報漏洩と嘘により解任された。驚いたことに副司法長官ローゼンスタインとFBI副長官マッケイブは、トランプ大統領を大統領職から追放するために修正憲法25条を適用しようとする謀略を企てていた。これはクーデターである。副司法長官ローゼンスタインは退任に追い込まれた。他にFBI検察官と調査官トップが解任された。他に何人も検察官たちの違法行為が強く疑われており調査が続いている。しかし、これらは退任や解任で済まされる犯罪だろうか?重大な犯罪行為として処罰されるべきである。しかし、明確な処罰は下されてない。犯罪に対する法的扱いがダブルスタンダードになっている。一般人が同様の行為をしたら何十年かの懲役刑になるかもしれない。憲法が保障する「法の下の平等」は何処へ消えてしまったのだろうか?

2020年12月2日、ウイリアム・バー司法長官により連邦検察官John Durham氏がスペシャルカンセルに任命された。「ロシア疑惑」騒動の源を逆の立場から明らかにするべく本格捜査が始まったといえる。しかし、2021年1月20日、ジョー・バイデン新大統領が就任し、行政府と立法府(連邦議会上下両院)が民主党支配下となった。司法省の良心に基づく捜査は政治的圧力により曖昧にされることが心配されている。

良心的な米国民が知らないうちに“反「法の支配」党”の「司令部」と「前衛」が生まれていたのである。これらの一連の事実は、大統領に対する政治的反発や言論による攻撃ではない。行政権を持つ大統領からその一端をゆだねられたエリート官僚が、行政権を乱用して違法行為により大統領を破壊しようとしたのである。“主権者である国民から選挙で選ばれた大統領”を、“選挙で選ばれてない、そして行政権の一端を大統領に代わって担当する官僚”が彼をホワイトハウスから追放しようとしたのである。アメリカ合衆国の憲法では立法権は連邦上下両院議員たちに委ねられ、司法権は連邦裁判判事たちと州裁判所判事たちに委ねられている。しかし行政権は大統領一人に委ねられている。この事件は米国史上、異常な事件である。

 

正体を現した“反「法の支配」党”

しかし、このままでは終わらなかった。民主党が多数派を占める連邦下院議会が「大統領の司法妨害とウクライナに対する大統領権力の乱用」を追求し、怪しい議会運営により大統領の弾劾裁判の執行を議決(2019年12月18日)した。米国民の約半分から支持をされ、また憲法で行政権のすべてをゆだねられている大統領の弾劾裁判を行うか否かを決定する重大な議決である筈だった。にも拘わらず民主党が推薦した議会証人たちの証言は「~と言ったそうだ」や「~と間接的に聞いた」というような証拠には程遠い、個人的感情や憎しみに基づく証言があまりにも多かった。その進行状況は中国や北朝鮮の人民裁判とよく似ていた。

もし上院も多数派が民主党であれば弾劾裁判が実行されて、その様は正に中共の人民裁判そのものとなったであろう。しかし、上院の多数派は共和党であり、上院のみが弾劾裁判を行う権限を持つ。さすがに上院は確たる証拠もなしに有罪判決をしなかった。幸いにして大統領の弾劾は否決されて無罪決着(2020年2月5日)をした。

皮肉なことに、その日に武漢ウイルス感染者第一号が現れた。連邦議会が無意味な弾劾裁判に振り回されていた最中に、強力な感染症が既に米国大都市部で感染爆発を起こしていたのだ。

   こうして「民主党勢力の大部分と共和党の一部エリート」(“反「法の支配」党”)によるドナルド・トランプ攻撃は二度にわたって完全に失敗した。一方、トランプ政権は短期間の間に国民の支持を固めて政治基盤を安定させてしまった。新大統領として就任早々から外交・安全保障(親中路線の廃棄と対中敵対路線への転換、北朝鮮政策)、経済政策(規制の撤廃と大胆な減税実行)は目に見える巨大な結果をもたらし始めた。またトランプ大統領が共和党の連邦上下両院議員たちをまとめて結束させ始めた。トランプを嫌い、そして憎む一部の共和党エリート議員と党員は、それに脅威を感じた。民主党エリート集団、共和党エリートの一部、そしてエリートメディアの方向が一致して“反「法の支配」統一戦線”が造られた。反トランプ勢力の派手なトランプ攻撃に蛮勇を取り戻した勢力がいた。それは司法省下のFBIと諸部門に生き残っている膨大な数の左翼エリート官僚達である。司法省・FBIと諸部門のトップ官僚の中にも面従腹背の輩が多数いる。

彼らは三度目のクーデター・チャンスが巡って来るのを待っていた。しかし、2019年は、2020年大統領選挙に向けてトランプ大統領に圧倒的有利な政治状況が展開されていた。

ところが、2020年に入り、中国が彼らにそのチャンスを与えた。武漢ウイルスによる感染症が米国に入り猛威を振るい始めたのだ。2019年12月中旬には“中国武漢で感染症が深刻な状態になっている情報”を深刻に訴える一人の共和党下院議員がいたが、米国議会は無視した。彼らは意味も証拠もない弾劾裁判に集中して、国民の命を守ろうとしなかった。繰り返すが、弾劾裁判が終わった2月1日には、既に大都市圏で感染爆発が始まっていたのである。するとエリートメディア、民主党政治リーダーは必要以上にその脅威を主張し、国民に恐怖感をあおった。彼らは感染爆発の責任のすべてをトランプ大統領にかぶせた。自分たちの責任であることを隠した。「大統領が非科学的で感染症対策を誤ったために感染爆発が起こった」とエリートメディアのプロパガンダが攻撃をした。

武漢ウイルスの感染拡大は自由の国アメリカで最も大きな打撃を与えた。トランプ大統領が積み上げた外交・安全保障分野と、そして経済成長の実績がかき消されてしまった。アメリカ合衆国の行政トップとして追われる立場に立たされた。ジョー・バイデン大統領候補には最高のチャンスが巡ってきた。民主党全国委員会、各州選挙運動組織、そしてバイデン選挙陣営はメディアのプロパガンダを背景に動いた。武漢ウイルスの感染を口実にして、郵便投票の法的規制を緩め、2020年大統領選挙に対して、あらゆる違法行為が可能な状態を作り上げた。特にスイングステイトに膨大な資金を投入した。またインターネットに接続可能で外部から侵入できるDominion社の投票開票機を使うように陰に陽に政治指導をおこなった。また、激戦州の選挙管理職員は訓練された軍隊として動けるように人的配置を準備した。大掛かりな選挙詐欺のシステムが大規模に完成していた。

 

遂に成功した“反「法の支配」党”のクーデター

11月3日の大統領選挙投票日と開票過程では、当然、過去にはなかった大規模な選挙詐欺が行われた。

当然、司法長官と司法省全体が、激戦州(ペンシルバニア、ジョージア、ミシガン、ネバダ、アリゾナ、ウィスコンシン)を注目し関心を集中するのが当然であった。特に大統領選挙の勝敗を決する5つの激戦州では、競争が過熱するため違法行為が行われる可能性が高い。政党を超えて厳しくチェックし、悪質なケースについては詳細に調べて告発せねばならない。それは司法省の当然の義務である。

前述されたように、2020年大統領選挙の激戦州現場では露骨に多種の違法行為が行われた。多くの脅迫行為や紛争すらも起こっていた。「法の支配」を維持するべく、国内を対象とする情報活動を行うFBI(Christopher Wray長官)が、選挙現場の違法行為について、他のどんな機関やマスメディアよりも把握するのが当然であった。いや、そうでなければならなかった。

しかし、不思議なことに司法省を構成するFBIを始めとする各機関は全くと言ってよいほど動きがなかった。調査追求するべき問題が山のようにありながらも、それに触れようともしなかった。ドナルド・トランプ大統領はその事実を驚き、そして嘆いた。「現場で調査をしているという情報を全く聞かない」と指摘した。FBIは合衆国憲法と州憲法を犯してまでも、違法な選挙活動が行われていても黙り続けていた。

FBIが調査をしなかったのだ。触れようとしなかったのだ。驚いたことに、11月3日の投票が終了し、票の集計が終わった後でさえも、彼らは全く動かなかった。これは、意図的にサボタージュをしたといえる。ウイリアム・バー司法長官の公式指示がFBIにより無視された。支持が無視されても、それを放置したのはウイリアム・バー司法長官がFBIの態度を受け入れた証拠である。彼は言った「大統領選挙では広範囲に広がった違法行為は行われなかった」(AP通信社インタビュー 2020年12月2日)。全米のメディアのニュースは「今回の大統領選挙には選挙詐欺行為は全く行われなかった」を繰り返した。司法長官の発言はエリートメディアのプロパガンダを公認したのだ。

司法省全体が、「法の支配」を守るという行政府の重要責任を放棄するという事態に至った。そして、「司法省とFBIが何もしない」という行為を実行した。「何もしないで無視する」ことによりクーデターを実行した。2020年大統領選挙は発展途上国並みの選挙事情が展開されたまま放置されることになった。

その結果、 “反「法の支配」党”のクーデターが成功し、彼らがその正体を現した。その姿は中国共産党が作り上げた種々の機関や社会組織とよく似ている者に見える。人民解放軍は中国国民の軍ではなく、中国共産党の軍である。米国国民には想像もできないことと思うが、次に彼らが狙うのは「連邦軍を民主党の軍にする」ことであろう。その為の行動が始まっている。

  民主党の上下両院議員の多くと、共和党一部議員も含めて、政治家たち、エリート・マスメディア、そしてビッグ・テック (Big Tech)が「アメリカ国民の為」ではなく、自分たちの「政治権力と利益拡大」をひたすら追求することに明け暮れている。彼らは中国共産党と似てきつつある。両者の目的は「力(power)と富の拡大」である。アメリカ合衆国の民主主義は根本的危機をかかえている。「アメリカの最大の敵」は「アメリカのうち」にある。彼はアメリカの未来を「独裁」もしくは「紛争とカオス(chaos)」に導くだろう。

アメリカの未来は、建国の父達が示した「建国の精神」に帰り、「神とアメリカ国民のために果敢に生きる」以外に、生き延びる道はない。

2021年7月20日

共創日本ビジネスフォーラム研究所

 

 

【コスミック・アイ 第14回】

世界の未来を決める「2020年、米国大統領選挙」

― アメリカ合衆国は生き残れるか? ―

 

アメリカ合衆国大統領選の行方

   

アメリカ合衆国の大統領選の行方は日本の明日に決定的影響をもたらす。    

二期目のトランプ政権が登場すれば、今まで以上に対中政策は激しいものになる。香港への国家安全維持法適用と一国二制度の消滅により、GoogleやFacebookさえも中国内部・香港からの撤退を考え始めたようだ。米国はヒューストンの中国総領事館閉鎖を7月27日に強行した。「米国内で他国が主導する窃盗やスパイ活動は許さない」という意思を宣言したものだ。

テキサス州ヒューストン市は世界最大の医療技術開発機関等の集積地であり、中国スパイが総領事館を拠点に暗躍していた。コロナウイルスのワクチン開発技術を盗もうとしていた証拠を把握しての処置のようである。中国は単なる報復として成都の米国総領事館を閉鎖した。

  米国では更にこのような処置を拡大する可能性も指摘している。これは米中両国が国交断絶寸前にある事を意味する。米国の対中国政策は今後更に厳しくなるだろう。

米国内の政治的動きや、法を適用させる変化を注意深く見つめなければならない。   

トランプ政権は、2018年に「泥棒と付き合うものは、泥棒の仲間とみる」と対中政策を宣言している。ある日、いきなり日本企業が、米国金融機関との取引を一切停止されたり、また中国のスパイ活動を援助した罪で司法機関に逮捕告発されることも起こり得る。

  一方、日本企業は、例えトヨタであってもこのまま中国で企業活動ができるだろうか?中国工場勤務の社員はもちろん、日本国内勤務の社員たちまでも「国家安全維持法」に基づいて違反すれば処罰されることになる。法的処罰の権限は中国側にあり、処罰の理由は説明されない。他の日本企業はどのように扱われるか推して知るべしである。

   民主党大統領候補ジョー・バイデン氏が当選し大統領に就任した場合、米中関係が良くなることはないだろう。共和党はもちろん反トランプの民主党、更にリベラル・マスメディアさえも中国に対して非常に厳しい対応を求めている。バイデン氏は親中路線を選択したいであろうが、政権を支える周辺リーダーが激しく反対する。上下両院民主党リーダーたちはより激しく抵抗するだろう。なぜなら、バイデン氏は高齢で一期目就任時が78歳、二期目は82歳となるため、二期目は若いリーダーが民主党から選ばれるだろう。民主党はその選挙に勝たねばならないからだ。それゆえ対中政策はオバマ政権のように裏表のある非常に複雑な政策となる。

表は厳しい対中政策、そして裏は親中宥和政策を静かに進めることになろう。

対日政策はトランプ政権よりも厳しい政策となるだろう。日韓の関係を揺さぶる徴用工や慰安婦に対する賠償請求問題が、その舞台を中国にまで拡大する。この問題に関して、米国民主党政権は背後から中国を支持するだろう。日本の対中政策をめぐり、米国が反日的方向に走ることになる。

加えて、中国や韓国に進出した日本企業は、両国内において香港で施行された「国家安全維持法」による共産党政府からの政治的な強い干渉を受けることになる。韓国は中国との間で犯罪者引き渡し条約を結んでいるからである。

中国や韓国に進出した日本企業群は、極めて厳しい環境に直面することになる。

 

一 連続する大事件の勃発

 

2020年11月3日、米国の大統領選挙が行われる。ドナルド・トランプ大統領が二期目も共和党大統領として就任するか、それともジョー・バイデン民主党からの対立候補が新大統領になるかが決定される。しかし、2020年1月までは、民主党大統領が誕生する芽はほとんどなかった。

米国経済はトランプ政権下にあっては極めて高い成長率を維持し続けていた。トランプ政権の経済政策への評価が極めて高く、二期目の大統領再選は当然かのような雰囲気が充満していた。おまけに民主党大統領候補バイデン氏は政治リーダーとしては魅力に欠けていた。加えて高齢であり、当選しても就任するのが78歳、二期目は82歳就任という歴代最高齢になる。共和党トランプ大統領とは対等に戦えないだろうと予測されていた。

おまけに、副大統領候補の有力者たちは、左派色が強すぎるので、独立的中道派の支持を吸収するのが困難であり、大統領選の勝ち目はないとみられていた。民主党は過去三年間、上下両院で建設的政策提案ができずに、トランプ大統領に対する「ロシア疑惑」陰謀論の追求のみに終始してきた。加えて、リベラル・マスメディアは民主党左派と路線を一つにして、大袈裟な「ロシア疑惑」プロパガンダ報道に邁進してきた。

今にも、大統領が犯した国家反逆罪の証拠が露呈するかのような報道や議会証言が、3年以上の間も繰り返されてきた。しかし、告発する根拠たる証拠はなかった。国民はそのような空気に疲れ、嫌気が広がりつつあった。

トランプ大統領二期目の当選は楽勝であるかのように思えた。しかし、そのようなムードを一変させたのが、米国で爆発した武漢ウイルス・パンデミックだった。2020年の2月に入ると新型コロナウイルスのパンデミックが全米に拡大し始めた。それに続いて連続で大事件が起こった。それらすべてが現職大統領の責任を追及する政治的武器として使われ始めた。それにより「ドナルド・トランプ二期目大統領当選楽勝」のムードが短期間で雲散霧消した。誰も予期していなかったことが起こった。民主党大統領候補ジョー・バイデン氏が圧倒的有利な状況になったといわれる。

   

① 武漢ウイルス・パンデミック

  「武漢ウイルスの世界パンデミックをもたらしたのは誰か?」

米国ではアメリカ合衆国下院議員ジム・バンクス氏(Jim Banks 下院軍事委員会・防衛機動部隊の未来共同委員長)は昨年12月の初めには、中国内部から発せられる脅威についての情報を継続的に追いかけていた。12月初めから1月初めにかけて、武漢市で正体不明の感染症の発生とその脅威を訴える何人もの医者とジャーナリストたちがいたが、彼らは投獄され、みな消えてしまった。台湾は昨年12月31日には既に、WHOへそれが恐るべき感染症であることを伝えていたが、WHOは無視した。中国共産党政府は情報提供をWHOに行わなかった。テドロス事務局長は調査団を送らなかったし、中国政府に情報提供の要求もしなかっつた。中国内部で感染爆発が起こっていた真っただ中で、中国は春節(1月24~30日)を迎えた。この前後に300万人以上の中国人ウイルスをもって世界に出て感染させることになった。「世界への感染拡大は意図的なものではない」と中国政府とテドロス事務局長が主張するにはあまりにも無理がある。新型コロナウイルスの世界的パンデミックを中国とWHOは完全黙認したのである。WHOのテドロス事務局長が「人から人への感染」を認めたのは、なんと1月20日だった。世界へのパンデミック宣言を出したのは3月11日である。それは中国の習近平主席が武漢でパンデミック終息を宣言した翌日だった。WHO事務局長と習近平主席が合意のもとに「武漢のパンデミック終息宣言」をしたかのようだ。国連機関WHOのテドロス事務局長と中国の習近平国家主席により、すべてが隠されていたのである。

米国や日本のプロパガンダ(リベラル)・メディアは「トランプ大統領の初期対応の誤りが米国のパンデミックの原因である」という報道を繰り返している。しかし、これは全くのフエイクニュースである。「中国の習近平とWHOのテドロス事務局長による感染症情報の隠蔽が、武漢ウイルスの世界的パンデミックをもたらした」のだ。

「米国の武漢ウイルス・パンデミックの犯人」は?

米国での武漢ウイルス・パンデミックをもたらした犯人は、米国上下両院の民主党議員達とリベラル・マスメディアである。中国でウイルス感染の大爆発が起こっていた2019年12月と1月の2か月間、米国ではトランプ大統領に対する「下院による弾劾決議」と、「上院による弾劾決議の否決」という、極めてヒステリックな大騒動に支配されていた。上下両院の民主党議員たちの党派的ヒステリック状態に陥りな米国議会が大混乱に襲われていた。              

アメリカ合衆国下院議員ジム・バンクス氏(Jim Banks 下院軍事委員会・防衛機動部隊の未来共同委員長)は昨年12月の初めには、中国内部から発せられる感染症の脅威についての情報を継続的に追いかけていた。迅速な対応を要する重大問題として上下両院の議員たちに訴えたが、全く無視されてしまった。国民の命の危険を守ろうとする良心の声は、民主党両院議員たちが根拠や証拠もなく作り上げた集団的憎しみのヒステリーにかき消されてしまった。リベラル・マスメディアは敵意に燃える民主党の提供するプロパガンダ・ニュースを伝え続けた。

 米上院は2月5日、トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾裁判で、「権力乱用」と「議会妨害」の二つの訴追条項について無罪評決を出した。同じ日に米国での新型コロナウイルスの患者第一号が発見された。既にこの時にはもはや感染が大きく広がっていた。

「トランプ大統領の初期対応の誤りが米国でのパンデミックの原因」ではない。それは政治的敵対者による意味のない政治的プロパガンダである。米国でのパンデミックの原因の根は「中国の習近平とWHOのテドロス事務局長の情報隠蔽」である。そして、米国の武漢ウイルス・パンデミックの原因の幹は、「米国議会両院の民主党議員達の憎しみと集団的ヒステリー」である。ウイルスの感染を防ぐ政治責任を果たす為に必要な時間は、すでに失なわれていた。無意味な弾劾裁判騒ぎの最中に感染はニューヨークと大都市を中心に既に拡大していたのだ。

誰も知らなかった新型コロナウイルスの恐ろしさ

   新型コロナウイルスの感染力の強さと犠牲者の増加のスピードは、誰の予測をも超えていた。ニューヨーク州知事アンドゥリュウ・クオモ氏は、トランプ大統領の対パンデミック政策を全て否定してきた。しかし、彼と、彼の政策を同様に実行した民主党州知事たちは、州民の命の保護よりも民主党の政治的自己主張を優先した。それにより、彼らはコロナウイルスへの有効な対応の在り方が、何もわかっていないことが暴露された。

6月22日連邦保険局行政官がそれを明らかにした。「クオモ知事と民主党知事たちが医療養護施設についての独自の指針を作り上げ(3月13日)、自らの州で実行させた。それは連邦ガイダンスと全く矛盾したものであり不誠実なものだった。施設で新型コロナウイルスの感染者が出た場合、病院で治療して回復すれば、完全な陰性でなくても医療養護施設に返す。」というものだった。この指導のゆえにニューヨーク州では医療養護施設入所者の6%(6,000人以上)が死んだ。同じニューヨーク州でも、クオモ州知事の支持に従わないですんだ私立の医療養護施設や共和党議員施政化の医療養護施設の犠牲者は圧倒的に少なかった。他の民主党知事下の州も、犠牲者の数は同様に高いものだった。

政治化されて、民主党と共にトランプ攻撃にヒステリックなリベラル・マスメディアは、6000人以上もの死者を出した行政判断の過ちを問うこともなく、全く無視してしまった。意図的にそうしたのだ。

   武漢ウイルスのパンデミックは短期間に米国と世界との交流を断ち切り、企業をはじめとする国民経済活動をほとんど停止させ、国民を家に押しとどめ、未来への生活見通しまでも奪った。突如、広大な米国を暗闇が覆ったのだ。感染者数411万人、死者14万5千500人に及んでいる(7月25日 ジョンズポプキンス大学)。

このような事態になると大統領や中央行政機関トップは責任を追及され、弱い立場に立つ。国民の不安は、不満を生み、米国行政トップに向う。リベラル・マスメディアはそれを政治的武器として利用し始めた。「ロシア疑惑問題」で根拠の脆弱な、証拠なき告発を成功させようとしてトランプ大統領を3年以上も追求してきた。今度は「コロナウィルス・パンデミックへの対応失敗の責任」という政治キャンペーン・ニュースでトランプ大統領を追求し始めた。

 

② “Black Lives Matter “ デモから暴動へ、更に米国の破壊へ

   2020年5月25日、ミネソタ州ミネアポリス市でアフリカ系アメリア人ジョージ・フロイド氏が、警察官4人に路上の取り調べ中に、不当な扱いを受けて殺された。

既に、新型コロナ・パンデミックによる不安や不満を、怒りに換える要因がアメリカ社会に広く出来上がっていた。そんな時にこのような不当な事件が起こった。        

武漢ウイルスによる死亡者はミネアポリス市ではアフリカ系アメリカ人が70%に及ぶといわれた。ニューヨーク市は死者の40%がそうであった。ミネソタ市で起きたフロイド氏殺害事件により、不安と不満は「怒り」となり、火炎となって全米デモとして広がった。“Black Lives Matter “(黒人の命は大切である)がデモのプロパガンダとなった。

大デモをAntifa(テロリスト)が破壊活動へ誘導、民主党員が政治指導をした

   ジョージ・フロイド(George Floyd) 氏を警官が殺害したことで始まった抗議デモの目的と性質はすぐに大きく変わり始めた。最初は人権無視に対する抗議デモだった。やがて、どこからか沸いて現れてくるAntifa(反全体主義)と呼ばれる職業的なテロ組織がデモを先導し、暴力的デモへと変化させた。職業的テロ活動員は全米を行き来し、大衆デモを組織し先導した。彼らは活動的民主党員や支持者と連携し、米国社会にある深い矛盾(人種差別とその対立)を巧みな戦略で拡大させた。

「警察破壊運動」による「法と秩序の崩壊」へ

暴動と破壊活動を鎮圧するために警察が動員されると、デモはますます激しさを増した。アフリカ系アメリカ人の怒りは「反人種差別運動」にとどまらないで、「警察組織の撤廃運動」を加えるようになった。人権運動が極左政治運動に変化したんである。     

このような政治的デモを指導したのは活動的民主党員や民主党支持者であり、それを保護したのが民主党政治家とリベラル・マスメディアであった。特に民主党州知事や民主党市長下の地域は、彼らが発する行政命令で警察が抑えられ、暴力的破壊者を拘束や逮捕もできずに、見守るしかない状況が現れた。今や破壊活動を好むテロリストや犯罪者が、自信をもって出現し、日中に悠々と犯罪を行うようになりつつある。

こうして、民主党主導の州や市は「法による秩序」が崩壊したところが多くなった。

民主党左派州知事と市長を首長とするシカゴ市(イリノイ州)では「米国の独立記念日」(2020年7月4日)の祝日であるにも関わらず市民の77人が銃で撃たれ、14人が殺された(7歳の女の子を含む)。凶悪犯罪が急増し、無法地帯が生まれつつあるのだ。       5月中旬から6週間の間に6市で600人が殺された。これらの犯罪が民主党員または民主党支持者により起こされたという。巨大な無法地帯、暴力、そして殺人が拡大状況にある。それでも民主党政治家たちやその支持者たちは「警察を解体せよ」と主張し、「少なくとも警察の予算を大幅にカットせよ」と言っている。

多くの民主党市長達が迎合し、否、むしろそのように危険な政治運動の主人となっている。ニューヨーク市長ビル・デブラシオ(Bill de Blasio)氏は「ニューヨーク市の警察予算を1000憶円以上カットする」と宣言をした。

ジョージ・フロイド氏が殺されたミネソタ州ミネアポリス市では、民主党市長と民主党市議会が警察予算を半分にすると決定した。ミネアポリス市の警察署長は黒人女性である。「彼女は警察が崩壊する」と頭を抱えている。米国の左派民主党員や支持者たちは、今や「警察の解体」をしようと試みている。これらの市長たちは「法と秩序」という米国を構成する土台を破壊しようとしている。

   米国の伝統的価値観を汚し、消滅をさせようとしている。

   大デモの参加者、Antifa(テロリスト)、そして民主党運動員たちは、米国政治の価値観の中心にある「米国建国の精神」をあからさまに破壊する運動を始めた。米国の政治や社会に、発展、調和と平和、そして希望をもたらすために不可欠な「建国の父たち」や英雄たちの思想や実績を汚し、辱めている。全米で、彼らの像を取り去ったり、破壊したり、又はひどい落書きで汚したりしている。共和党議員たちが民主党大統領候補ジョー・バイデン氏に「建国の父たちや、英雄たちの像の破壊に反対する署名」を依頼したが、彼は署名をしようとしなかった。民主党大統領候補、上下両院の民主党議員達、そしてリベラル(主流)メディアは米国から伝統的な「米国独立宣言に見られる人間観や政治哲学」(建国の理念)を追放しようとしていることがはっきりした。

   そのような米国社会の激しい動きを恐れて、リベラルな知識人たちがそれに迎合し始めた。ニューヨークの歴史博物館に設置されていたテディ・ルーズベルトの像を、博物館側が取り去ってしまった。彼が馬に乗り、左右に黒人とアメリカ・インデアンが従う姿が人種差別的であると理由づけたと思われる。像を新しく造るというならば納得できるだろう。しかし、米国史上の大統領の中で最も尊敬される4人の大統領(他に、ジョージ・ワシントン、トマス・ジェファーソン、アブラハム・リンカーン)の一人を何故歴史博物館から取り去ってしまうのか説明がつかない。反アメリカ的行動である。現在の我々はテディ・ルーズベルトから学ぶべきものがたくさんある筈だ。他者に完全を要求し、満たされなければ憎んで破壊しようとする態度は、永遠の戦いと闘争をもたらす。このような態度は人間の本質にある傲慢そのものの現れである。典型的な共産主義運動家たちの態度と似ている。

また、プリンストン大学では理事会が決議して、「公共政策・国際関係論の研究機関・ウッドロー・ウイルソン・スクール」の名称を変えるという。ウッドロー・ウィルソン(元米国大統領・元同大学学長、国際連盟を提案)の名をつけていたが、それをやめて他の名称を付けることにした。

米国の名門大学がウッドロー・ウィルソンの名を追放してしまったのである。彼は米国史上価値がないと断定された。そのような価値評価を行ったプリンストン大学の傲慢な理事たちこそ、理事の座から追放されるべきではないだろうか。

   米国の国民一般は、米国の歴史的英雄たちの像を取り去るべきとは考えていない。例えば、確かに初代大統領ジョージ・ワシントンや第三代大統領トマス・ジェファーソンは自分の奴隷を所有していた。しかし彼らの像を公の場から取り去るべきとは考えていない。

アメリカ人の多くは「英雄たちも間違った側面を持っている。しかし自分はもっと多くの過ちを持っている。米国の英雄たちから、自分たちが他から学べない貴重な真理の多くを学ぶことができる。」と考えている。全米世論調査機関Rasmssen Poll(2020,07,03発表)は「国民の75%がそのように考えている」と発表した。明らかに言えることは米国のエリート層(民主党大統領候補ジョー・バイデン氏を含む)がアメリカ国民と異なる考えを持ちながら、自分たちの見解が普遍的真理であると考えていることである。

現在、アメリカ社会の基本を揺さぶっている極左Antifaは勿論、民主・共和両党の左派政治的エリート達、リベラル・マスメディアのリーダー達が特殊なアメリカ人であり、大多数の一般アメリカ人は彼らと大きく異なる考え方をしているのだ。しかしエリート達は、あたかも自分たちこそが真のアメリカ人であるかのように思い込んでいる。

 

― 続 ―

 

2020年8月16日

共創日本ビジネスフォーラム研究所

【コスミック・アイ 第13回】 

新型コロナ・ウィルス世界的パンデミック

その後、世界は何処へ行く?

 

一、恐ろしい感染症の教訓

(1)人の運ぶ感染症が国民国家を滅ぼす?

2019年12月以前に中華人民共和国の武漢市の一角から始まった新型コロナ・ウィルスによる感染拡大は、恐るべき力を発揮した。半年もかからずに世界の国々を鎖国と都市封鎖(Block Down)に追い込み、世界の経済活動を停止させ、諸国民を家に閉じ込めた。歴史上のどんな暴君も及びもつかない力で、今も人類を踏む付けている。

感染症は戦争よりも恐ろしいといえる。国家の崩壊や民族の絶滅に直接的に結びついてるからだ。それにもかかわらず、日本人の多くは戦争や核兵器が最も恐ろしいと思っている。「感染症」による犠牲者の数は「戦争」によるそれよりもはるかに多いのだ。

第一次世界大戦勃発の直前に感染爆発したスペイン風邪は、世界に約5億人の感染者と2,000~5,000万人(推定)の死者をもたらしたと言う。日本でも人口の半分(2,380万人)が感染し、388,000人が亡くなった。第一次大戦の死者は約1,000万人であることからも、スペイン風邪の猛威は恐るべきものだったことがわかる。

16世紀には強力な感染症ウイルス「天然痘」が、中南米の原住民を滅ぼすために生物兵器として意図的に活用されたようだ。天然痘が全く存在しなかった南米と中米に、スペイン人の天然痘患者によって持ち込まれた。さらに、それは彼らによりメキシコのアステカ帝国やペルーのインカ帝国を滅ぼすために利用された。スペインのフランシス・ピサロは、天然痘にかかったスペイン兵士が着用した外套をインカ帝国にプレゼントした。天然痘は猛烈な勢いで感染し、人口が1000万人以上から100万人前後まで激減したという。国家の機能は崩壊してしまった。そして、わずか170人弱のスペイン兵士達によってインカ帝国は滅ぼされた。メキシコのアステカ帝国はスペインのエルナン・コルテスとわずか400人の歩兵により滅ぼされたが、事実上は天然痘により滅ぼされたといえる。恐ろしい死神が海を越えて持ち込まれたのである。

感染症対策は国家の安全保障政策の大きな柱である

感染症問題は、元来、国の安全保障政策の重要な柱である。しかし、日本の新型コロナ・ウィルスに対する反応と対応は何故鈍かったのだろうか?深刻な感染症は首相と国家安全保障会議で扱うべきだった。日本国の政治組織と機能のすべてを発揮して対処せねばならなかった。それを厚生省が中心として処理をしようとした結果、様々な桎梏が生まれてしまった。また、日本の厚生省には、感染症が国民と国家の安全保障問題であるという認識が無いと聞いている。安全保障と感染症対応に対する認識の誤りがそうさせたようだ。感染症は単に被害の大小だけで扱うべきものではない。それによる、国民生活の破壊と、国家機能の崩壊を除けねばならないのだ。国民と国家の運命を左右するものである。

中国共産党政府は、新型コロナ・ウィルス感染拡大についての情報を意図的に隠し、それにより生まれる世界的パンデミックを政治戦略に活用しようとした恐れがある。中国政府は、12月初めにはすでに人から人へと新型コロナ・ウィルスが恐ろしいスピードで感染し、死者が激増していることを認識していた。しかし、春節(1月24~30日)を楽しもうとするすべての中国人達に海外への出国を1月末まで公然と認めていた。中国政府が団体旅行の出国を禁じたのは1月27日である。その時にはすでに266万人が世界を闊歩していた。日本にはそのうち92万人が旅行に来ていた。ヨーロッパ諸国とアメリカに大感染爆発が起こったのは当然である。日本で同様のパンデミックに至らなかったのが世界の不思議となっている。

歴史的に天然痘は、感染力と致死率の高さを非常に恐れられてきた。それは充分に細菌兵器になりうるものだ。1980年にWHOは天然痘の根絶宣言をした。同年、日本はワクチン接種を法的に廃止した。現在、天然痘のウイルスを保管する国は米国とロシアのみである。しかし、それを中国や北朝鮮等が所有していないとは言えない。米国は、生物兵器によるテロに対応するべく、米国CDC(疾病管理センター)に充分な量の天然痘ワクチンを保管させている。しかし、日本に保管ワクチンは存在しない。天然痘は感染率が非常に高く、更に致死率の平均が20%~50%というものだ。日本国民は、既に天然痘に対する免疫力をほとんど失っている。「感染症対処」は日本の安全保障政策の重要な柱であるべきだ。

  

(2)「難民と移民」に対する政策や考え方が新しくなる

安易な人道主義が、政治的混乱やテロリストを生み出した

人道主義が普遍化され、米国やEU諸国では難民や移民の受け入れが拡大されてきた。難民や移民を無造作に受け入れてきた結果、政治的混乱やテロリストが育つ土壌が造成された。

米国は伝統的に海外からの多数の移民を受け入れながら発展してきた。近年はヒスパニック(中南米系)が急激に増加している。2,002年には3,530万人(メキシコ系2,100万)であったが2010年には5,048万人(メキシコ系3000万以上)となりアフリカ系アメリカ人の人口を超えた。現在米国では不法移民が1,100万人以上存在するという。それに加えて、メキシコとの国境から不法移民が侵入し押し寄せる。2019年には100万人を超えると米国大統領は指摘した。アメリカ合衆国の不法移民政策が米国の政治的未来を左右するほどの重大な課題になりつつある。不法移民たちは法的立場が無いため、安い賃金で働かざるを得ない。米国には彼らの安い労働力に頼る企業や農場も多数ある。不法移民は厳しい社会経済的事情の下にあるため犯罪組織(麻薬密売)に係るものが多くなる傾向を持つ。麻薬密売のマフィア組織は全米に広がり、米国の青少年たちを淪落させ、深刻な治安問題を起こしている。

EUは人口5億300万人であり、EU域外の移民出身者は約2,040万人である。年間に120万人が流入し、60万人が流出している。不法移民は推定190万~380万人である。彼らは米国の不法移民同様に、社会経済的に厳しい状況にあり、テロ組織の温床でもある。

特に宗教と文化の違いから生まれる摩擦が大きな問題に成長しつつあり、EU諸国に排外主義的な民族主義的・保守政治運動が発展しつつある。

新型コロナ・ウィルスのパンデミックは、世界の難民や移民たちをめぐる状況を、わずか半年足らずで一変させてしまった。中南米からメキシコ国境を越えて米国を目指す不法移民たちや、EU諸国を目指すアフリカや中東からの難民が、その動きを停止せざるを得なくなった。恐ろしい感染症で多くの死者が増加している地域にあえて入国しようとしなくなった。また米国やEU諸国は、海外からの感染者の入国を止めるため、自ら鎖国状態にした。

やがて、米国やEU諸国のパンデミックは治まる。その後パンデミックがアフリカや中南米で本格化する恐れがある。それは米国とEU諸国の鎖国状態を継続することを意味する。こうして不法移民や難民問題は一時的に収まる。しかし、それは難民や不法移民問題を根本的に解決するには程遠い。

 

政治的・経済的政策だけでは永遠に解決しない

一体、移民や難民たちと、それを受け入れる国民が、どうしたら調和することができるのか? 政治的・経済的政策だけでは永遠に解決しない。豊かな米国、ドイツやフランスでも貧しい人たちは多数いる。彼らは生きるために一生懸命働いている。しかし、結果として海外からの侵入者たちとの「仕事の奪い合い、社会福祉の奪い合い」となる。当然、少数者が圧迫され、怒りと恨みを抱くようになる。そのような環境が、やがて、難民や移民たちを「保護をしてくれた国や国民」に対するテロリストに変身させることになる。難民や移民を受け入れる国が、単に経済発展のための労働力として彼らを利用したなら、彼らは心が傷つき、怒り、そして恨みを蓄積するだろう。また反対に、彼らが、その国の豊かさを自分の幸せのために利用しようとだけすれば、憎まれ、軽蔑され、そして片隅に追い詰められ、更に追放されるだろう。宗教や生活文化の違いが、心をさらに深く傷つけることになるであろう。そうしてテロリストや反政府運動、そして極端な排外主義運動が生まれ闘争が始まる。

 

出身国以上に第二の母国を愛し、社会に貢献し、隣人を慈しむ」

お世話になる立場の「難民や移民」の精神的自覚と姿勢が非常に重要である。例えば、米国に来た移民や難民は、「米国人よりも米国を愛し、社会に貢献し、そして隣人を慈しむ」ことにより、偉大な未来への活路が彼らのために開かれるだろう。中南米やキューバから来た移民達のリーダーの中に、そのような人たちが比較的に多いようだ。そのようなビジョンや動機を難民や移民者に提供することは、移民を受け入れる国の重要な責任でもある。この原則を実践することは難しいが、彼らが真に受け入れられ、成功するためにはそれ以外に道はない。歴史初期でのイスラム教徒やキリスト教徒の社会的広がりは、「そのような原則を実践して、異国や異民族に喜んで受け入れられた」というものだったのではないだろうか。

南米での日本人移民たちはその原則を実践した。その結果、彼らはブラジルを始めとする南米諸国で絶大な信頼を得るようになった。また、米国に渡った日本人移民たちは、やがて第二次世界大戦に直面することになった。米国の敵国(日本)の出身者であるため、スパイ扱いさえも受けた。この時代のアメリカ合衆国では、未だ人種差別があからさまに行われている時代でもあった。多くの日系青年たちが、米国社会の信頼を勝ち取るために米国兵として出征することを志願した。最前線の最も危険な場所に送られ、多くの人が亡くなられた。そのようにしてでも「人種差別」と「敵国出身の米国人」という立場を克服しようとした。

難民や移民たちを受け入れた国はそのような実践を援助する為に、その国の「言葉」と「歴史」を学ぶ機会を提供するべきである。                    

デモクラシーの経験がない国々から欧米圏にやって来て、その国の国民と対等に国民主権の行使者となる道は険しい道となるだろう。「自由、民主主義、そして法の支配」は、国民の一人一人に対して首相や大統領であるかのように「国全体の責任を持つ」ことを要求する。国民がいきなりそれを要求されると耐えられない場合が多い。典型的な例は北アフリカや中東で起こった「アラブの春」運動(2010年12月~)である。

「アラブの春」は「アラブの冬」をもたらした

アラブ諸国には、王政の国と共和制(大統領や首相)の国があるが、そのどちらも独裁体制である。中東は「独裁制の最後の砦」といわれる。ところが、2010年終わりから2011年にかけて突如、チュニジアで民主化を求める大規模デモが起こった。独裁的大統領に抑圧されていた民衆の反政府的主張がSNSの活用により全国民に広がり、それが大規模デモとなったのだ。チュニジアの大統領は後退し、新政権がたてられた。民主化を求める大規模デモは、直ちにリビア、エジプトにも拡大した。リビアではカダフイ政権と反政府デモ勢力との武力衝突が起こった。国連と多国籍軍が介入して、カダフイは殺された。リビアには新政権が建てられた。エジプトでは30年も支配したムバラク大統領が追放されて、イスラムの軍事政権が生まれた。

しかし、これらの三国は民主化の夢を実現できなかった。民主化の夢と大規模デモはバーレーン、オマーン、クエート、ヨルダン、モロッコ、アルジェリア等に広がった。しかし結局、到着点は民主化の停滞し、独裁制の復活、内戦の勃発、それに加えイスラム国(IS)の出現であった。あまりにもアラブの春は短く、直ちに冬に逆戻りをした。民主主義の夢はもとめるだけでは実現しない。民主主義社会は、国民の努力による「民主主義の創造」により実現される。

アメリカ民主主義の基礎は、100年以上の期間をかけて「小さな規模から実践され、創り上げられた歴史的集積体」である。さらに英国との独立戦争(1775~1783)を経験したうえで連邦制度を設立した。無視できないことは、米国や英国の民主主義政治は、強固な共通の価値観の上に作られていることである。漠然とした民主化の夢により作られたものではない。彼らは長い年月をかけて、自分の身を削って民主主義を創造したのだ。そのうえ、250年以上の急進的民主主義政治の経験を持つアメリカ合衆国や、350年もの歴史を積み上げた英国でも、国民は、現在も健全な自由民主主義社会を作るために苦悶をしている。

移民たちの政治参加が許され、政治的自由と活動が保障されたときに、自分たちへの援助を過度に要求することに固執すれば、その国の圧倒的多数派からの反対を受けて孤立する。政治的理由で合法的に追放をされるかもしれない。特に移民者の数が増加して、社会的基盤ができるときに、逆に難しい問題が発生するだろう。その時には、政治的自己主張が強くなる傾向があるからだ。

解決の鍵は「出身国以上に第二の母国を愛し、社会に貢献し、隣人を慈しむ」という原則を着実に実行することである。そうすれば彼らはやがてその国と自由民主主義の主人達となるだろう。

 

(3)「国境」に対する政策や考え方が新しくなる

恐るべき感染症は海外から国境を越えて侵入してくる。それは国民生活のすべてを停止させ、経済活動が停止し、家族との突然の別れをもたらす。しかも死者の数もおびただしいものになる。感染力が極めて高く、致死率も高い感染症は100年に一度以上発症すると考えるべきだ。今後、兵器として作られた人工的ウイルスによる感染症が現れる可能性も高い。日本は中国・ロシア(細菌兵器所有?)、そして北朝鮮(細菌兵器を所有)に海で接する。

特に日本は厳しく対応し、また準備する必要がある。

  

早期の国境閉鎖が感染症パンデミックを防ぐ

国境を越える人を通して感染症は侵入し、感染爆発をおこす。「いかに迅速に国境閉鎖を実行するか」が運命を分ける。その為には「事実のままの情報」を可能な限り「早く」また「正確」に知らねばならない。感染症を発症した地域は透明性を保ち、極力早く、事実に基づく情報をWHOや世界に発信せねばならない。それは国際的義務である。しかし発生源を抱える習近平政権はその責任を果たすことを全く無視した。しかもWHOまで巻き込んだ。その為、世界の諸国は「国境閉鎖による、最も有効に感染症パンデミックを抑えるチャンス」を失ってしまった。これは歴史的な犯罪行為である。

中華人民共和国の政権中枢は、一部の行政リーダーが誤った対応をしたかのように装っている。しかし、2億台以上(2020年)の監視カメラによるデジタル情報システムと、膨大な数の公安警察(160万人)が全国民を徹底監視している国で、武漢のような大都市で起こった事件を中央政府が知らないはずがない。政治的意図があってむしろ感染症の世界的拡大を謀ったとしか思えないのだ。今後、これは歴史的問題に発展するだろう。

2019年12月初めには中国武漢では「人から人への感染爆発」がすでに始まっていた。武漢の李文亮医師は12月末にはその深刻な危険をSNSのスクリーンショットで訴えたが「デマを流布した」として8人が処罰された。彼は犯罪者として激しく監視された。李医師も新型コロナ・ウィルスに感染し、2月7日未明に亡くなった。この間、中国政府は「人から人への感染症」であることについて一切触れなかった。WHOもそれに迎合し「人から人への感染」の可能性を全く無視した。台湾は昨年12月31日にWHOに「武漢で原因不明の肺炎が拡大している。複数の患者が隔離治療されている。人から人に感染している可能性がある。」と伝えた。しかし、WHOはその情報まで完全に無視した。加えて中国政府は、春節(1月24~30日)で国民が旅行することを全く止めようともしなかった。既に“国内で感染爆発が起こっていたにもかかわらず”である。266万人が世界観光のため中国を後にした。日本に92万人、他の国(多くがヨーロッパと米国)へ174万人が旅行した。日本は奇跡的に犠牲者が少なく済みそうだが、パンデミックはヨーロッパとアメリカに大打撃をあたえた。欧州では死者18万2000人、感染者223万人。米国カナダは死者11万6000人、感染者197万人となった。更にアジア諸国中東、ロシアさらにアフリカや南米に感染爆発が拡大中である。6月5日現在、感染者約656万人、そして死者38.7万人となっている(AFP/BBNEWS)。

このウイルスは人工的に何らかの手が加えられたものである可能性もあるようだ。米国がそのような疑いを持たざるを得ない充分な根拠がある。

2014年以来、米国の「国家健康機関」から4億円以上の税金が援助金として武漢国立ウイルス研究所に援助されてきた。しかし、中国国立武漢ウイルス研究所が、何故米国の国家健康機関から援助を受けられるのか、その資格については隠されてきた。それはバラク・オバマ政権時代のことである。そこではコロナ・ウィルスとコウモリとの関係について研究がされてきた。 “2018年、(トランプ政権下で)アメリカから外交官(科学専門)が中国の研究施設視察に繰り返し派遣された。彼らは、武漢ウイルス研究所(WIV)の安全性と管理体制にぜい弱性があり、支援が必要だと米国政府に求めた”とワシントンポスト紙は述べている。この6年間、武漢ウイルス研究所の状況についての情報を米国政府の専門家たちが得ていると考えるのは当然だ。トランプ大統領やポンペオ国務長官が「武漢ウイルス研究所が感染源だ」と指摘したが、その情報を根拠としているのだろう。

 

新しい国境の時代

国民の家庭や命を守るために国境の運用が重大になる時代がやって来た。新型コロナ・ウィルスの感染爆発がもたらした「新しい国境認識」である。それは「家庭と国家の生命を保護するための国境」である。この「新しい国境」の概念は、今まで支配的であったグローバリズムに基づく国境概念の対局にあるように見える。グローバリズムは今大きく変容することが求められている。即ち、安易なグローバリズムは大きな犠牲をもたらす。それは「新しい国境認識」と調和することにより「真のグローバリズム」へと変容せねばならない。

グローバリズムを代表するEU諸国の国境概念は、“国境を自由に越えて人や商品が行き来できる”ものだった。それは世界の政治思想に多くの影響をもたらしたようだ。しかし、それは新型コロナ・ウィルスの感染爆発により、瞬時に激しく否定された。恐ろしい感染症から国と国民を守るためであった。感染を防ぐために、短期間ですべての諸国が国境を閉ざした。それでも、すでに手遅れであり、とてつもなく多くの犠牲者をもたらした。

それまでは、国民生活に必要な物資はコストの安い地域で分業的に生産し、安さの恩恵を受けてきた。しかし、今回の感染症パンデミックで、それらを輸入しようとしてもできない事態に陥った。生産国の政府(中国)が政治介入して独占的所有を行い、政治的国益のために輸出するようになった。また、豊かな国が買い占めてしまう。医療用マスク、手袋、防護服、治療薬とその原材料、人工呼吸器、ワクチン(?)等を政治目的のため外交的に利用する等の諸問題が発生した。経済的合理主義に基づき利益を追求する「国境を越えた世界的分業経済」が大きな危機をもたらした。安いと思っていた生活用品が大きな危機をもたらした。日本国民はなんでも日本で生産できると考えていたが、日本からマスク、消毒用アルコール、医療用手袋や防護服が消えた。世界的分業体制を利益偏重のために利用したことがもたらした結果であった。 

 「もし、不足をしたならば国民の命にかかわるような物資は、極力自国内で生産する」という経済政策を選択し、「予備品の一定量をしっかり保管」して置かねばならない。

また、医師、看護師、医療従事者、医療施設、医療器具等は平時にはゆとりを持たせ、緊急事態に備え対応できる準備と国家予算による継続的な必要資金の投入が必要だ。

 

「国民と国家の生命を保護するための国境」

人口の増加とともに、個々の家庭が集合して作る国家は、人の四肢五体のように巨大な有機体を構成するようになった。国家が集合する世界も、未来には成長して、国家よりもはるかに巨大な有機体(生命体)となるだろう。有機体としての国家が、人体の一つの器官のようになって世界的有機体を構成して、両者の生命を維持するようになるだろう。                        高度な生命体(有機体)は固有の形や機能を繁殖し、また千年・万年もそれらを維持し続けている。そのような有機体が生命を維持し続けるために、皮膚に類するものがそれの全体を覆い、そして守っている。それなしには害虫、細菌、ウイルス等が有機体の中に侵入し、生命が破壊されてしまう。人間の体は最も高度な生命体であり、美しい皮膚が体全体を覆って生命全体を大切に保護している。

37(60?)兆個の細胞が一人の生きた人体を造っている。人体を構成する細胞に相当するのが家庭である。固有の個性を持つ何百、何千万の家庭が生きた国家を造る。人体の生命活動を保護しているのが皮膚であるように、国家の生命活動を保護するのが「国境」である。それは皮膚のような機能を果たす。「国境」が皮膚の働きを失えば、強力な感染症、軍事力を持つ邪悪な集団、種々の犯罪集団が侵入し、国家の生命を食い荒らして死に至らしめる。国を構成する細胞たる家庭まで死ぬことになる。

従来のように、想定される敵国から自国の「領土・領空・領海」や「資源」を守るために「国境」の管理を強化するだけではない。戦争よりも恐ろしい、また、いつ発生するかわからない、みえないウイルス感染症の侵入から国民(家庭)と国を守るためには、国境を有効にコントロールしなければならない。これは自然の法則に依拠するものである。グローバルな時代が来て、諸国家間の人と物の往来が、かつてでは想像もできないほど巨大になった。世界的交流が高まる程、人間社会は発展の可能性が広がる。しかし、新型コロナ・ウィルスの世界的パンデミックとその悲劇(2020年)は、逆にそれにより世界的崩壊の可能性が高まっていることを冷酷に提示した。人類は突如として現れる崩壊の可能性を、叡智と決断により、咄嗟に除去せねばならない。その為には国境が極めて重要な役割を果たす。

 

バイオテロや戦争に使われる「天然痘」やコンピューターウイルス

天然痘は歴史上もっとも恐ろしい感染症の一つだった。空気感染や飛沫感染をする極めて感染力の強いウイルスであり、また致死率も非常に高い。1980年にWHOが「天然痘ウイルスは根絶された」と世界に発表した。それ以来、米国と旧ソ連が天然痘ウイルスを厳重に保管した。しかし、天然痘ワクチンは米国(ロシア?)を除き存在しないようだ。このことは世界が極めて危険な立場に立たされていることを意味する。天然痘ウイルスがこの二国以外は所有されていないという保証はない。ソ連崩壊時(1991年)には大きな政治的混乱期があった。その時に、ロシアから他国に売り渡され、また盗み出されたかもしれない。中国や北朝鮮が天然痘を兵器として所有しているか否か、内情は全くわからない。天然痘ウイルスが生物兵器として用いられる恐れがある。恐ろしいことに、日本には、天然痘ワクチンの保管が全くないようだ。ワクチンのない国の国民にとっては天然痘ウイルスの怖さは新型コロナ・ウィルスの比ではない。

国境を越えて容易に他国に侵入するものは感染症のウイルスだけではない。コンピューターウイルスが気づかれないうちに自国に侵入し、感染を拡大して、国家の生命が奪われる可能性さえある。その時には社会活動のすべてが一瞬に止まってしまう。        戦争レベルのサイバー攻撃に対し、「バーチャルな国境」を作り上げ、強力なコンピューターウイルスの侵入を止めて、国家の生命と国民生活を保護することが重大な課題となっている。

コンピューターウイルスにも様々な力の差がある。国家が軍事目的で莫大な資金と人材を投入して開発するものは、ウイルスの能力は非常に大きい。他と格段の差がある。サイバー攻撃で情報を盗むのは、ほんの入り口のものである。高いレベルのそれは、気付かない間に大きな破壊活動を成功させる。列車、飛行機、等の交通機関や金融、通信や重要な企業、電力、水道等のシステムを一瞬に麻痺させることも可能である。米軍はそのような強力なサイバー兵器を造り蓄積している。陸、海、空と並ぶAmerican Cyber Command がありポール・ナカソネ大将が指揮している。

“最近、米軍はサイバー攻撃をイランに対しても積極的に活用している。2019年6月20日、イランにより⽶国の無⼈偵察機が撃墜されたことと、ペルシャ湾でのタンカー攻撃をイランの革命防衛隊が行ったことへの措置として、「イスラム⾰命防衛隊」の主要なデータベースを標的とし、米軍がサイバー攻撃をして成功した。そのデータベースは、ペルシャ湾での攻撃を計画するために⾰命防衛隊が使っていた。彼らは現在も依然としてシステム、ネットワークおよびデータの修復をしている。それ以後現在までペルシャ湾のタンカー攻撃は起きていない。” MIT Technology Review  09,2019

ロシアの軍や政府の機関が種々のサイバー攻撃を今でも仕掛け、ウクライナや中東での紛争に活用し、技術を高めている。中国も同様に特に米国企業のハイテク技術を盗み出し軍事技術として活用しようとしている。北朝鮮もそれにより諸国の銀行からお金を盗み出している。

今後の戦争は、武器による熱戦以前に目に見えないサイバー戦争から始まる。相手の国に深く進攻して、国家に致命的破壊を与えることが可能だからである。 

- 続 -

2020年6月11日

共創日本ビジネスフォーラム研究所

【コスミック・アイ 第12回】

 

新型コロナウイルスの世界的パンデミックと宗教の未来

 

一 情報統制による闇に世界が覆われた

(1)闇に覆われた中国武漢市で恐ろしい事件が進行していた

米国の代表的な保守系メディア(Fox News)は信頼性の高い情報源からとして以下のことを伝えた。アメリカ合衆国下院議員ジム・バンクス氏(Jim Banks 下院軍事委員会・防衛機動部隊の未来共同委員長)は昨年12月の初めには、中国内部から発せられる脅威についての情報を継続的に追いかけていた。この数年間、中国によるフアーウェイの脅威と孔子学院を活用する大学でのスパイ活動を注目してきたが、正体不明の感染病についての情報が反中国共産党の人たちから騒々しくなっていたからである。情報の発信源は香港、台湾、そして中国内部であった。12月初めから1月初めにかけて、武漢市で正体不明の感染症の発生とその脅威を訴える何人もの医者とジャーナリストたちが投獄され、みな消えてしまった。

この時にジム・バンクス議員は正体不明の感染症の脅威を上下両院の友人たちに訴えたが議会人たちは全く関心を持たなかった。下院民主党はトランプ大統領の弾劾訴追の決議をすることにのみに集中し走っていた。上院も同様だった。それが米国の新型コロナウイルスに対する対応を完全に遅らせる原因となった。1月31日に、”新型コロナウイルスは中国でスペイン風邪(感染者5億人)のようにものすごい速度で感染拡大している。米国では、まず防疫の徹底が第一歩だ”とツイッターで議員仲間に訴えた。しかし上下両院は、「下院の大統領弾劾決議」が「正体不明の感染症から国民を守る」事よりも喫緊の重要課題と考えていた。皮肉なことに、下院で民主党議員たちが弾劾決議に投票した当日に米国最初の新型コロナウイルス感染者が発見された(CDC発表2月15日)。新型コロナウイルスは既に米国に上陸していたのだ。

(2)世界は中国の情報統制による闇に覆われた

 中国武漢で発生した新型コロナ感染に対し、世界で最も見事な模範的対応をしたのは台湾である。4月11日までの台湾の感染者数は382人、死者は6人にとどまっている。中国との地理的近さや、経済的親密度を考慮すれば賞賛に値するといわざるを得ない。台湾の蔡英文総統の情報把握がどの国よりも早く、迷いなく防疫処置を展開したからである。

 WHO事務局長テドロス氏は4月上旬にジュネーブの記者会見で「台湾が私に3か月以上にわたり私を攻撃し続けている。人種差別的発言もあった」と台湾を攻撃した。不思議なことに感染拡大を抑えることに最も成功した優等生をたたいたのだ。台湾外交部は「謝罪」を要求し、蔡英文総統も強く抗議した(4月11日)。台湾新型コロナウイルス対策本部トップの衛生福利部長・陳時中氏は記者会見で事実を指摘し「昨年12月31日にWHOに伝えた。中国湖北省武漢で原因不明の肺炎が拡大している。複数の患者が隔離治療されている。人から人に感染している可能性があると伝えた。しかし、無視された」と述べた。WHOは「人から人への感染の可能性については触れられてない」と反論した。陳時中氏は「専門家でありながら素人であるかのように装っている。隔離治療がその警報でないというならば何が警報になるのか?」と応じた。

 台湾は昨年12月31日には既にWTOへ「人から人に感染する」ことを伝えていた。彼らは中国の情報のみを信じ、中国が嫌がるそれは最初から拒否していた。中国の専門家チームトップが「人から人への感染」を認めた後に、WTOは初めてそれを承認した。それは1月20日以後だった。テドロス氏は新型コロナ感染のパンデミック(感染爆発)宣言を出すのも遅れさせた。3月10日、習近平が武漢に入り事実上のパンデミック終息を表明した。すると、その翌日にテドロス事務局長が「世界に対するパンデミック宣言」を出した。その時にはすでに新型コロナウイルスの感染は中国から世界へすでに拡大していた。WHO事務局長テドロス氏は習近平政権とともに事実を隠蔽し、その恐ろしい事実を世界が事前に認識できないようにした。世界が国連機関を通して情報統制をされたのである。習近平政権とWHOの情報統制による闇が世界を覆ってしまったのだ。新型コロナウイルスの世界的パンデミックによる悲劇は自然災害ではない。中国共産党独裁政権と国連を構成する特殊な機関WHOが巻き起こした人災である。本来、感染拡大は最小限に抑えられたはずである。

 2月2日、米国は中国からの渡航者の全面入国禁止を実行した。日本が中国からの入国制限を強化したのは3月5日だった。中国の春節(1月24~30日)には100万人ちかい観光客が訪日していた。安倍政権は新型コロナウイルス感染の政治的対応を完全に間違えた。4月に習近平の訪日を配慮するあまりのことであろう。WHOの情報と対応、そして中国政府が提供する情報に基づいてすべて対応策を実行してきた。国民に危機をもたらした。今後その結果が現れる。恐ろしいことにならないよう祈るばかりである。

 4月14日、米国大統領ドナルド・トランプ大統領はWHOへの米国からの拠出金を一時的に停止するように指示したことを宣言した。同時にその理由をいくつか提示した。

① WHOは中国側からの誤った情報を押し付けた。例:「人から人への感染は無い」、「中国への渡航禁止を出す必要はない」

② 中国に専門家を早い段階で派遣、調査し、そして情報開示の透明性欠如を断固指摘するべきだった。感染拡大を抑え込めたかもしれない。

③ 米国が中国からの入国禁止処置(2月2日)をとったことにWHOは反対した。彼らは最も危険な判断をした。

トランプ大統領はWHOに対し事実をありのままに指摘したに過ぎない。

 

二 新型コロナ感染パンデミックと宗教の未来

 2020年4月9日、第266代ローマ教皇フランシスは英国の記者のCOVID-19に関する質問に対し次のように答えた。

 「中国から発生した新型コロナウイルスの感染爆発の危機は、間違いなく人間の失敗に対する自然界からの反応である。気候変動がもたらす様々な大惨事の一つとして自然が訴えているのである」 (THOMAS D WILIAMS,PH.D  BREITBART 9 April 2020)

 教皇フランシスは、2013年に就任した。2015年に自然環境保護に献身する歴史上最初の教皇として声明を述べた。その中で「人間の自然界への搾取を非難」している。

 現教皇が自然を非常に愛される方である事は間違いないと思う。しかし「新型コロナ感染爆発の世界危機は、地球温暖化を止めることに失敗した人類に対する自然界の訴えである」としたことは、教皇が宗教者として実に深刻な誤りを犯したと言わざるを得ない。

 フランシス教皇は二つの誤りを犯したようだ。一つは「新型コロナウイルスの世界的感染爆発は人災である。」ことを隠蔽し、結果として中国とWHO事務局長を保護するにつながる声明となった。二つ目は、教皇が「息も絶え絶えで悲嘆にくれる隣人たち」を助けようとせずに、高邁な説教だけをした。すなわち、「新型コロナウイルスに有効な新薬やワクチンの開発」を訴え、激励し、そして自らがバチカンを率いて解決のために他の方法を実行することもなく、ただ「地球温暖化の防止を実行することが根本的な解決方法だ」とのみ訴えた。

 

(1)一つ目の誤り:中国とWHO事務局長の誤りを覆い隠そうとした。        

 フランシス教皇の声明は「COVID-19による世界的悲劇は人災である」ことを「美しく覆い隠す」ために発せられたのではないか。現段階でも『中国政府とWHO事務局長テドロス氏による「情報操作と積極的盲従」が対応を遅らせてしまい、世界的感染爆発の原因となった』ということが明確になりつつある。新型コロナウイルスによる世界的パンデミックの悲劇は「政治的悪意がもたらした世界的人災」である。中国が透明性を堅持して、12月にその事実と危険性を世界に知らせる責任を果たしていたならば、またWHOが中国に利用されずに世界のために確固たる行動をとっていたならば、新型コロナ・パンデミックは現在のようにはならずに、早めに終息段階に入ったであろう。今後、それが人災であったことが益々明らかになるであろう。

 COVID-19による世界的悲劇を解決するためには、もはや有効な新薬かワクチンを開発するしか方法がない。バチカンは世界のカソリック教徒の医学研究者、製薬企業、あるいは豊富な富を所有する人々に「生死の境にある世界の隣人を助ける為に、有効な新薬かワクチンの開発に総力を挙げて協力をしていただきたい」と声明を発しないのは何故だろうか?勿論、カソリック系病院の医療従事者たちはコロナウイルスの重症患者を救うために「命をささげて命を救う為の戦い」の真っ只中である。しかしフランシス教皇とバチカンは「新型コロナウイルスの感染爆発の危機は、地球温暖化を抑えることを失敗した人間に対する自然界からの訴えである」と指摘するにとどまっている。

 フランシス教皇の声明は「COVID-19による世界的悲劇は人災である」ことを「美しく覆い隠す」ために発せられたものだ。中国とWHO事務局長の誤りを覆い隠そうとした。

 実際、教皇フランシスは驚くほど共産党独裁の中国が好きなのだ。今や習近平政権に対する協力の手を差し伸べたのではないかと疑られても当然なほどである。フランシス教皇が就任(2013年)して以来、バチカンは中国共産党に急接近している。2018年9月22日、ローマ法王庁が「カトリック教会の司教任命をめぐる中国政府との歴史的合意に達した。」と発表した。しかし、合意の詳細は明らかにされていない。問題の「司教任命のプロセスについての合意」に対しては現在まで言及を除けている。フランシス教皇は「中国の司教は自分が任命する」と主張している。しかしその後、バチカンが過去に破門した「中国政府公認教会が独自に選んだ司教たち7人」をフランシス教皇が司教として公認した。中国ではカソリック信者は推定1千200万人を超えるといわれる。中国カソリック教会は共産党が司教を任命する「政府公認協会」と「非公認の地下教会」に分裂してきた。地下教会信者たちはバチカン任命の司教たちに守られてきた。しかし今や、地下教会の信者たちは共産党当局によりいつ逮捕・投獄されかわからない境遇となった。フランシス教皇は、習近平政権に受けいれられようと地下教会のカソリック信者を捨て、彼らを中国共産党に売ってしまった。

 中国を訪ねて共産党政府と国民(共産党員)に歓迎されることを熱望し、最初の訪問地を湖北省武漢とするようだ。そして、習近平政権の新型コロナウイルス感染対策への賛美を世界に向け高らかに宣言する意図であう。フランシス教皇が「COVID-19による世界的悲劇は人災である」という事実を「美しく覆い隠そうとした」と言える根拠が多数ある。

(2)二つ目の誤り

 「教皇は息も絶え絶えで悲嘆にくれる隣人たち」を助けようとせずに、高邁な説教だけをした。すなわち、「新型コロナウイルスに有効な新薬やワクチンの開発」を訴え、激励することはなかった。そして自らがバチカンを率いて解決のために他の方法を実行することにも触れなかった。ただ「地球温暖化の防止を実行する」ことが根本的な解決方法だとのみ説いた。現在も感染者が拡大し、死者も増大している。既に世界の感染者はおよそ260万人超、死者は18万人超(4月23日現在)となった。1日で7,000人も死者が増加している。今後どこまで拡大するか予想もつかない。歴史を振り返れば愛を実行する責任を放棄した宗教の未来には、「自らと、国や世界を巻き込む悲劇」が待ち受けている。  

 皮肉なことに、徹底的に神を否定するカール・マルクスの共産主義は神を信奉するキリスト教社会で生まれた。キリスト教が間違った宗教だったからではない。共産主義がキリスト教社会から生まれ育った理由は、「キリスト教社会が、イエスが身を犠牲にして教えた“愛の実践伝統”を捨ててしまった」からだ。教会組織やキリスト教社会が間違ったのである。「恩讐さえも愛せよと実践して教えたイエスキリストの愛」を説きながら、西欧キリスト教社会が「イエスの愛の実践」を忘れてしまった。さらに、歴史の長きにわたりユダヤ人を呪い、憎み、そして幾度も冷酷に虐殺さえ犯してきた。キリスト教社会が所有した憎しみ、呪い、そして殺意がマルクスの共産主義思想を生んだといえる。マルクスの共産主義思想の政治的実践は少なく見ても1億人以上の人々を虐殺した。それは歴史上の疫病大流行や大戦争さえも及びもつかない未曽有の犠牲者を生んだ。

 カール・マルクスはユダヤ人だった。父はユダヤ教のラビであり弁護士だった。ドイツのプロイセン地方で生活する弁護士の父には絶えず宗教的圧迫があった。たまらず彼はキリスト教に改宗した。ユダヤ教ラビの家系を誇る妻は絶えず夫と争った。カール・マルクスは父母が宗教問題で争いあう姿を見ながら、キリスト教に憎しみを持つ若者として育った。彼のゆく場所のすべてでキリスト教社会およびその政治基盤が敵となり立ちはだかった。大学教授の道がとざされ、やがて編集長になったライン新聞をつぶされ、フランスからベルギーに逃れ、最後に英国ロンドンで64歳の生涯を終えた。彼は自らの命が尽きるまで資本論を書き続けた。それは未完であった。葉巻をふかし、タイプを打ち続けながら死んだといわれる。彼はキリスト教社会に追われながら、キリスト教を憎み、そして呪いながら彼自身の革命思想を構築した。“神を呪い、キリスト教(宗教)は軽蔑され憎まれるべき”とする執念を彼の哲学、歴史観、経済学として体系化した。資本主義経済が諸悪の根源であるから徹底して破壊するべきという闘争思想を完成させた。

 何故、マルクス主義は大きな影響力を歴史に残し、いくつもの巨大国家を飲み込むまでに至ったのだろうか。第一に、マルクスの共産主義哲学は単なる知的哲学ではなく、誰もが心のうちに抱える“恨み、憎しみ、軽蔑と優越感、そして闘争心等の情念に火をつける”ものだった。聖書や宗教の経典の教えと正反対の内容でありながら、それらに勝る負の情念を燃え上がらせ、大衆の心を奪い、そして繁殖した。 第二に、マルクスの共産主義思想は「ヒューマニズムに基づく社会正義の実現」を追求した。「人間疎外からの解放」と、革命による「自由と平等で豊かな共産主義社会実現」である。これらは良心的な若者の心を大きく揺すった。

(3)宗教の未来

 「息も絶え絶えで悲嘆にくれる隣人たちを助けようとせずに、高邁な説教だけをする宗教の未来」はどうなるだろうか?

 ロシア10月革命(1917年10月)に似た、しかしより大規模な革命を世界にもたらすかもしれない。その時には宗教圏が、徹底した闘争的無神論者たちの支配のもとで、軽蔑と憎しみの対象となり、絶滅に向けて追い詰められることになるだろう。

 西欧キリスト教社会でマルクスの共産主義が生まれ、最初の共産主義独裁国家はロシアに実現された。19世紀末のロシア正教会は正に「息も絶え絶えで悲嘆にくれる隣人たちを助けようとせずに、高邁な説教だけをする宗教」そのものだった。国民の大多数は農奴で非常に貧しく、しかもロシア正教会に対し敬虔な信仰を持ち、献身的だった。ロシア正教会はロマノフ王朝に保護され、国税による収入を得、また非常に裕福な資産を所有していた。極貧の農奴の身分に心を痛めて、解放しようという努力を全くしなかった。自分たちの与えられた立場に安住していた。ロシア正教会の聖職者たち、農民、商人、軍人、官僚、そして貴族たち全ての人たちが“個人として天国に行くため”にのみ信仰上の関心を集中していた。イエスの愛の実践に生きることよりも、自分が天国に行く特権を得る事ことを優先した。良心的で優秀な若者(特に貴族の子供たち)達はこのようなロシアの後進国的現状に失望し、ロマノフ王朝の専制的権力とロシア正教会の聖職者たちの偽善的あり方を軽蔑して憎んだ。ウラジミール・レーニンもその一人だった。彼らを魅惑したのはプロシア、オーストリア、フランスからロシアの大学に招かれた招かれた学者達だった。彼らが西欧先進国の思想として社会主義やマルクス主義思想を紹介した。

 正義感の強い、良心的で優秀な若者たちは社会主義や共産主義思想に酔いしれた。かれらにとってロシア正教会のリーダーたちは、「専制権力に迎合する軽蔑するべき偽善者であり、憎むべき人たち」としてしか見えなかった。ロマノフ王朝末期のロシアは精神的権威の中心を全く失っていた。ロシアの精神的権威の中心の座には、ロシア正教会に代わり「社会主義者」や闘争的無神論者たる「マルクス主義者」が座るようになった。その小さな流れは短期間で大河となり、10月革命の成功(1917年)でロシアを飲み込んだ。ソビエト連邦を誕生させ、更に共産主義国家群を世界に生み出した。それらの諸国では例外なく大量殺りくが行われ、共産党独裁による徹底統制と宗教弾圧が行われ、まさに地獄と化した。

 宗教が愛の実践を捨てたならば、民族や世界の精神的権威の座に、偽りの愛(本当は憎しみと軽蔑)を実践する人たちが座るようになる。新型コロナウイルスによる災害は世界の宗教に深刻な問いかけをしている。真に愛を実践する宗教は輝き、そして栄える。しかし、愛の実践を放棄して悲惨な隣人を助けようともしない宗教は、分裂し、生命力を失い、そして崩壊する。そして、やがて世界を支配する悪魔を生み残すだろう。宗教が悪魔をこの世にもたらし、彼に世界支配の座をささげるだろう。

2020年4月26日

共創日本ビジネスフォーラム研究会